
こんにちは!ゆのです!今回は薬剤師国家試験の胃潰瘍の病態〜生物〜薬理〜実務がつながるお話を書きました!最後までよろしくお願いします!
⚠️注意点⚠️
「国試の勉強のツール」としては青本や要点集がおすすめです。
そのためこのブログでの話は「科目横断的な学びの導入」程度に考えてもらえると幸いです。
本記事のスライドも青本を参照・引用した上で作成しています。
【病態】消化性潰瘍とは

消化性潰瘍とは胃粘膜または十二指腸の良性の組織欠損で、欠損が粘膜下層にまで及んだ病変です。

症状は胃痛・胃もたれ・悪心・黒色便・コーヒー残渣様吐血などがあります。原因としてはH.pylori、NSAIDsが主です。
【病態】消化性潰瘍の治療目標

こちらは胃潰瘍診療ガイドライン2020より引用した治療のフローチャートです。最終的な治療目標は活動性潰瘍を瘢痕期に移行させ、長期的な再発を抑制することにあります。
【生物】ヘリコバクター・ピロリについて

ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)はらせん状のグラム陰性桿菌です。ウレアーゼで胃酸を中和し、胃の中でも生存出来ます。
胃粘膜に感染し、萎縮性胃炎・胃MALTリンパ腫・胃潰瘍・胃がんなどを引き起こします。
ITPとの関連性も指摘されています。
【病態・薬物治療】ピロリ菌の除菌治療と検査

ピロリ菌の1次除菌はPPI or P-CAB + アモキシシリン + クラリスロマイシン、2次除菌はPPI or P-CAB + アモキシシリン + メトロニダゾールで行います。
除菌後4週間以降を目安に、除菌判定のため原子量13の炭素を用いた尿素呼気試験が行われます。
この方法ではウレアーゼが尿素を分解して二酸化炭素とアンモニアを作り出す性質を利用しています。
原子量13のCO2と正常な人の呼気に含まれる原子量12のCO2の割合を算出し、陽性かどうかを判定します。
【薬理】ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌治療薬の作用機序をまとめました。PPI/P-CABは後述します。
【実務】ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌の除菌治療薬の用法は1日2回7日間です。「白癬のイトラコナゾールパルス療法はピロリ菌除菌と服用期間・タイミングが同じ」だと薬ゼミの先生に言われた記憶が。
服薬指導では耐性菌防止のため、下痢などの症状があっても自己判断で中断しないよう伝えることが大切です。
また、メトロニダゾールはジスルフィラム様作用があるため、服用期間中は飲酒しないよう指導します。
【生物】胃の生理

主細胞はペプシノーゲン、壁細胞は胃酸と内因子、副細胞は粘液を分泌します。また、幽門部のG細胞は血中にガストリンを分泌します。
ペプシノーゲンは不活性ですが、胃酸で活性化されてペプシンになり、タンパク質を分解します(チモーゲン)。
内因子はビタミンB12と結合し、回腸でのビタミンB12の吸収に関わります。
【生物】胃酸の分泌

ヒスタミンH2受容体・アセチルコリンM3受容体・ガストリン受容体が刺激されるとプロトンポンプ(H+-K+ATPase)が活性化され、胃酸が分泌されます。
【生物】胃酸の分泌(補足)

ECL細胞は迷走神経刺激やガストリン刺激によってヒスタミンを放出し、H2受容体を介して胃酸分泌を促進します。
また、ソマトスタチンはD細胞から放出されてガストリンの分泌を抑制するため、胃酸の分泌が減少します。
【薬理】消化性潰瘍治療薬

先ほどの【生物】のスライドを踏まえて胃薬の作用機序をまとめました。
ここでは実務との結びつきが強いH2受容体遮断薬とプロトンポンプ阻害薬・制酸薬について見ていきます。
ここで注意が必要なのは下記の2点でしょうか。
・ピレンゼピンはM1受容体への選択性が比較的高い
・オキセサゼインはG細胞からのガストリンの分泌を抑制する。ガストリン受容体を遮断する訳ではない。
【薬理】H2受容体遮断薬

先ほどの【生物】の話を踏まえると、H2ブロッカーは胃壁細胞のH2受容体を遮断するため、結果的にプロトンポンプを介した胃酸分泌を抑制する事が分かります。
また、消化管出血を防止する効果もあります。
【薬理】H2受容体遮断薬

ここは薬剤の範囲になってしまうためサラッと掲載しました。
シメチジンは多くのCYP種を阻害するので、多くの薬の代謝・排泄を遅延させます。
また、有機カチオントランスポーター(OCT)の基質のため、近位尿細管におけるメトホルミンやプロカインアミド等の輸送も阻害します。
【実務】ファモチジン

先ほど示したようにファモチジンは腎排泄型のため、腎機能が低下した患者や高齢者では注意が必要です。
また、OTC(1類)のガスター10にはスライドに示したような注意事項があります。
【実務】H2受容体遮断薬<その他>

H2ブロッカーの服用タイミングは「就寝前」または「朝就寝前」となっています。
薬ゼミの先生に「夜はアセチルコリンが増えて胃酸の分泌が増えるから」と覚えるよう講義で言われた記憶が。
また、ICUの術前管理としてストレス性潰瘍防止のためにH2ブロッカーまたはPPIの投与を検討する事があります。
【薬理】プロトンポンプ阻害薬(PPI)

先ほどの【生物】のスライドを踏まえてプロトンポンプ阻害薬の作用機序を見ていきます。
プロトンポンプ阻害薬は腸で吸収されて胃壁細胞の酸性領域で活性化され、ジスルフィド結合を介してプロトンポンプの働きを不可逆的・持続的に抑制します。その作用はH2ブロッカーより強力です。
また、オメプラゾールはCYP2C19を阻害するため他の薬と相互作用を起こしやすいです。
【薬理】プロトンポンプ阻害薬(P-CAB)

ボノプラザンはカリウムと競合的に拮抗する事でプロトンポンプの働きを可逆的に阻害します。
酸による活性化は不要・主に3A4で代謝される、という特徴があります。
【実務】プロトンポンプ阻害薬の相互作用

先述のようにオメプラゾールはCYP2C19を阻害するため、2C19の基質であるシロスタゾールやクロピドグレルの血中濃度を上昇させます。
また、これはPPIに限った話ではないですが、スライドで示した薬は制酸薬などの影響で胃内pHが上昇すると溶解性・吸収性が低下します。
この手の相互作用だと今年はハーボニーが「ヤマ」だと言われた記憶(※結局未出題)。
【実務】プロトンポンプ阻害薬の用法用量

添付文書上、プロトンポンプ阻害薬の投与期間は胃潰瘍と逆流性食道炎は8週間まで、十二指腸潰瘍は6週間までとなっています。
スライドでは青本にあるランソプラゾールを例にしました。
…ちなみに、PPIの実務は粉砕可否の話もありますが、本題からずれるので今回は省略しました。
【薬理】スクラルファート

スクラルファートは潰瘍部のタンパク質と結合し、保護層を形成・治癒を促進します。加えてペプシンと結合してペプシンの活性を抑制します。
また、ニューキノロン系・テトラサイクリンやジギタリス製剤の吸収を低下させます(前者は不溶性のキレート形成、後者は吸着による)。
また、アルミニウム脳症を引き起こす可能性があるため、透析治療中の患者には禁忌です。
【薬理】制酸薬(全身性)

制酸薬は胃酸を中和し、胃酸によるペプシノーゲン活性化を抑制します。
炭酸水素ナトリウムは胃酸を中和したのちに吸収されるため、代謝性アルカローシスを引き起こします。この性質を活かしてアシドーシスの是正にも使われます。

(アシドーシス是正に使うメイロン静注。病院実習で実物を見た方もいるかもしれません)
【薬理】制酸薬(局所性)

炭酸水素ナトリウムが吸収されるのに対し、こちらは非吸収性です。
マグネシウムを含む製剤は高マグネシウム血症の副作用があります。
また、アルミニウムを含む製剤はスクラルファートと同様、透析治療中の患者に禁忌です。
【実務】酸化マグネシウム

酸化マグネシウムは用量によって適応がやや異なります。0.5〜1g/日で制酸、2g/日で緩下の適応があります。
また、副作用の高マグネシウム血症の初期症状には悪心嘔吐、徐脈などがあります。
これは高齢者や腎機能障害のある患者で生じるおそれがあるため、このような背景を持つ患者には慎重な投与が求められます。
【実務】Mg・Alイオンと相互作用(1)

薬剤と相性のよい範囲でしょうか。ここではマグネシウム・アルミニウムのみ紹介します。(※セフジニル,レボドパ↔鉄は省略)
覚えるべき相互作用は大抵キレート形成ですが、フェキソフェナジンだけはキレート形成ではなく吸着という事に要注意です。
【実務】Mg・Alイオンと相互作用(2)

これらの薬では服用タイミングをずらす事とされています。(細かい時間はニューキノロン以外自分もあまり覚えてないです)
ビスホスホネート→30分
ミノサイクリン→2〜4時間
ノルフロキサシン→2時間
セフジニル→2時間
ペニシラミン→1時間
レボチロキシン→できる限りあける
【末筆】
薬理についてはミソプロストール、レバミピド、テプレノン、ポラプレジンクなど、紹介しきれなかった薬がまだまだあります。
現役生だとこの時期はまだ実務に手をつけてない方がほとんどかと思いますが、他の科目をしっかり理解しておくと11〜2月くらいに実務を勉強した時に1周目でもすんなり頭に入ってきて楽だった覚えがあります。
さて、今回はここまでです!最後までありがとうございました!